Kyushu University Global Debate Seminar 2012 (九州大学グローバル・ディベ-ト・セミナー2012)

こんにちは。2012年度UTDS部長に就任致しました理科Ⅱ類井上裕紀です。

まだまだディベーターとしても部長としても未熟ですが、UTDSの発展のため、ディベート界の発展のために全身全霊を捧げて務めていく所存ですので、みなさんどうぞよろしくお願い致します。


さて、遅くなってしまいましたが、1月7・8日に九州大学伊都キャンパスで開催された九大セミナー(正式名称Kyushu University Global Debate Seminar 2012 ,九州大学グローバル・ディベ-ト・セミナー2012, 略称:GDS)に参加してきたので、今回はそのご報告をさせていただきます。
今日の舞台は九州です!

このセミナーはディベートのコーチをされているJonathan Borock氏が主催されたもので、コーチ陣には他に先日のWUDC2012のCAを務められたLucinda David氏とOxford Debating Development Squad部長のThomas Hosking氏を迎えるという、超豪華なセミナーでした。日本にいながら世界で活躍されている著名なディベーターに教わることが出来る機会はそうないと思い、Asian道場を泣く泣く見送りながら、でもわくわくしながら九州へと向かいました。

参加していた大学は、東大、京大、九大、広大、北九州大、関西外大、武蔵でした。東大からの参加者はただ一人で(結局関東からの参加者は武蔵の大西さんを含めてたったの2人!) 、九州には正直知り合いがあまりいないと思われて少し寂しく感じていたのですが、行きのバスの中で見覚えのある京大3人組やJonathanを見かけた時には一安心しました。笑

出た!京大三人組!


初日、午前中は自己紹介を一通りした後いきなりThomas vs. Lucindaのラウンド!Motionは古典中の古典、”THW support death penalty.” Philosophyの見事な線引きや、次から次へと飛び出す分析の多さ深さには驚きを隠せませんでした。これが世界トップレベルのディベートなのかと思うと、鳥肌が立ちました。実は1回ずつのconstructive speechとreplyという簡易的なラウンドだったのですが、replyの前には一旦中断して、どのようなclash pointになるのかなどを話し合う時間が設けられて、activeに参加する雰囲気を作ったり、あえてreplyにnew pointを加えて生徒を試したりなど、色々と学べるように工夫がされていました。

左からLucinda David, Thomas Hosking,そして今回の主催者の Jonathan Borock
豪華なセミナーとなったようです。


午後は3つの班に分かれてのlab。僕はThomasの班になりました。脱線しますがThomasは数学を専攻しているらしく、ノートには数式がたくさん書いてありました。佐野さんといい、やはりディベートが強い人は論理的思考を要する数学も強いのでしょうか。ちなみに僕は一応理系ですが・・・orz
初日のlabの内容はと言えば、manner(マナー), framework(枠組み), argumentation(立論)の3部構成でした。mannerとは、お行儀のようないわゆる「マナー」というよりは、声の抑揚や緩急、アイコンタクトといったスピーチの仕方のことを指します。エクササイズを踏まえながら、トーンや強弱を変える発声練習や様々なジェスチャーの意味を教えてくださいました。frameworkとは枠組み、つまりラべリングや言葉の選び方に関することです。1つの言葉にも捉え方によって様々な言い換え方があり、その使い分けやword choiceがいかに有効かを学びました。レトリックも多少学び、今現在取り入れようと画策中です^^; そしてargumentation。普段使っているAssertion, Reason, Example, AssertionのAREAではなくStatement, Explanation, EvidenceのSEEという立論の仕方(でもAREAと一見似ているような…笑)を教わり、国によって戦略なども多少変わってくるのかなと感じました。他にもargumentの深め方や分析の仕方などを学び、講義が終わってラウンドをした時には(“THW ban all junk food advertisements.”)、一味違う世界観を持ったような感覚でした。Thomasは講義の中で、逐一motion(しかも古典)を例に挙げて、こう言ってはダメ、こう言えばいい、というところを明確に具体的に示してくださったので、実用的でしたし、抽象的な個所も理解しやすかったです。


初日終わってからは京大3人集とラーメンへ。ラーメンと言えば尾道ラーメンの僕ですが、本場のアツアツ濃厚な博多ラーメンには頬が落ちそうになり、思わず替え玉を頼んでしまいました^^; 博多ラーメンカップがもしまた開催されたら参加したいです!笑

やっぱりとんこつラーメンは最高ですね!


さて、話はディベートに戻って2日目。
今回のレクチャーはAsian道場の裏番組ということもあって(?) 、BP styleです。そこで2日目の午前中はBP特有の内容、つまりextension & whipについて学びました。Extensionについて、僕は今まで漠然と、新しいstake holderを見つけようだとか、philosophyをextensionにしようだとか行き当たりばったりで考えてきました。しかしThomasはextensionをタイプ分けして示し、過去の大会での実用例も踏まえながら、それぞれどうextensionとして評価されたのか、丁寧に教えてくれました。また、extensionを出すにはopening halfとの違いを示すことが大切ですが、その言い回し(flagging)も教えてくれました。Whipに関してはsummaryをするのに有効なフォーム・ストラクチャーや、newな反論の組み込み方などを教わり、closingで実際に使ってみるのが楽しみになってきました。

そして遂に2日目の午後、最後の内容はPOIとノートの書き方について教わりました。POIとは、Point Of Informationのことで、相手のスピーチ中に立って質問したり反例を挙げたりすることをいいます。以前にJonathanが上智でPOIについて講義してくださったものとはまた一味違い、効果的なPOIのやり方や時間を上手く使う方法などを学べて新鮮でした。ノートの書き方の箇所では、効率的で、構造が分かりやすくなるような工夫を教えていただきました。Thomasに前日のモデルディベートの時のノートを見せてもらったのですが、人目で構造が分かるように整理されており、真似しようと思いました。ただ、一言二言書いてあったメモの量が、7分間絶えず話していた内容量にどう考えても匹敵しておらず、とりあえずノートだけでなく頭の構造も見せてほしいと思いました。

全てのレクチャーが終わった後、有志(?笑)8人が最後に前でラウンドをすることになりました。まぁご察しの通り僕もやることになりました^ ^; Motionはもちろん超古典”THW ban smoking.”2日間で学んだことを意識してディベートに臨んだところ、頭の中が整理されて、スピーチに若干ゆとりが出た気がしました。ちなみに初めて大人数の前で話したので緊張しましたが、新鮮でしたし何よりマイクを持って話すのはテンション上がりますね^ ^ Grand Finalに行ったらこんな光景が待っているんですね。強くなっていつか必ずGrand Finalで壇上に立ちたいです。

BPの全てを網羅した今回のレクチャーは、多くのスキルを学ぶことができ、そして自分のディベートを一つ一つ見直し変えていくことのできた、とても密の濃い貴重な機会でした。とは言っても、まだまだ取り入れきれていない点が多くあるので、今回の経験を最大限活かすためにも、復習して普段の練習から意識して変えていきたいです。


ちなみにJonathanが今回のレクチャーを九州で開催されたのは、関東や関西で徐々にディベートが普及してきている中、九州や中四国ではまだそこまで普及していないため、この地域でのディベート界のプレゼンスを高め、活性化させていきたいとの思いからだそうです。Jonathanの日本のディベート界への愛ともいえる深い想いに、僕も強く感銘を受けました。こうしてディベート界の輪がどんどん広がるといいですね。今後もこのような機会をぜひ与えていただけたら嬉しいです。


以上、九大セミナーの報告でした。

素晴らしい経験になったようですね!


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